投稿日:2023年12月10日  カテゴリ:矯正歯科

歯列矯正治療を一生で2.5回?!

歯列矯正治療に積極的なアメリカ

アメリカでは矯正治療回数が平均2.5回

アメリカで歯並びが重要視される理由はいくつかあります。一つの理由は、美容や外見の重要性がアメリカ社会で強く意識されていることです。歯並びが整っていることは、自己イメージや自信を高める要素とされており、それが社会的成功や人間関係においても重要な要素となっています。

1回目の矯正治療は、おおよそ小学生くらいの年齢で、この頃は 矯正治療を受ける = 子どもにとっては ステータス になるので、ワイヤーで目立たせたいもしくは インビザラインファースト(=インビザラインキッズ)なら、マウスピースに 特殊なシールを貼っておしゃれに目立たせる ということも流行っていたりします。

2回目の矯正は大人になってからで、出来れば目立たず治療したいというニーズに応える形でインビザラインが普及していったという背景があり、最初は 軽度の後戻りの適応から始まり、今では使いこなすことでほぼ全ての症例を治療可能になっています。

ビジネスや就職を有利にするため

歯列矯正を受けることは、ビジネスや就職に有利になることがあります。正しいかみ合わせや美しい歯並びには、自信を持って笑顔を見せることができるため、人とのコミュニケーションが円滑になり、好印象を与えることができます。また、歯並びの美しさは外見の印象を左右するため、ビジネスシーンでも好意的に受け取られることがあります。さらに、口元の美しさは清潔感や健康的なイメージを与えるため、就職やビジネスの際に有利になることがあります。そのため、歯列矯正を受けることで、自己表現やビジネスにおける印象を良くすることができると言えます。 アメリカが多民族国家で、笑顔が敵意が無いことを表すコミュニケーションのツールとして、使われてきた背景もあるでしょう。

健康志向からくる美的意識

また、歯並びが整っていることは、口臭や歯周病などの口内の健康を維持するためにも重要です。アメリカでは、健康志向の人々が多く、口内の健康を維持することが重視されています。
さらに、歯科医療の技術やサービスが充実していることも重要な要因です。アメリカでは歯科医療の技術が高度であり、歯並びを整えるための様々な治療法や装置が利用できるため、多くの人が歯並びの改善を求めることができます。
以上のような理由から、アメリカでは歯並びが重要視され、多くの人々が歯並びを整えるための治療を受けることが一般的です。

アメリカの矯正は保険が効く?

ほとんどの国民は、個人で民間の保険会社の保険に加入するか、勤務先や所属団体が提供する団体保険に加入します。65才の人や障害者には、国が運営する、メディケア (Medicare) という公的保険制度がありますし、低所得者には、メディケイド (Medicaid) という制度があります。
大抵のかたは自分で民間保険に加入しますが、保険の種類によっては日本で治療を受けた場合より安くなることもあります。また、州によって保険の割合が違う場合もあります。

欧米と日本の矯正の考え方はこんなにも違う?

欧米と日本の矯正の考え方はかなり異なります。欧米では矯正歯科が一般的であり、歯並びや噛み合わせを美しく整えることが重視されます。歯並びや噛み合わせに対して美意識が高く、外見の美しさを追求する傾向があります。
一方、日本では矯正歯科は比較的新しい分野であり、美しさよりも機能性や健康に重点を置いています。また、歯の並びや噛み合わせを整えることよりも、歯や顎の健康を重視しています。日本では矯正治療を行う際には、患者の歯並びだけでなく歯や顎の健康状態を総合的に考慮し、バランスのとれた治療を行うことが一般的です。
そのため、欧米と日本の矯正の考え方は美意識や健康意識の違いからも異なりますが、それぞれの文化や歴史的背景にも影響を受けていると言えます。

アメリカでの歯科矯正平均2.5回の理由

複数回の矯正がどのようにして
標準になったのかの歴史的背景。

アメリカでの歯科矯正治療における2.5回の回数が標準とされるようになった背景には、長い歴史があります。

かつては、歯科矯正治療には矯正装置を長期間装着する必要がありました。しかし、技術の進歩や治療方法の改善により、矯正装置の効果や効率が向上しました。 

アメリカで歯列矯正が標準的な治療となるまでの歴史的な背景は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての歯科医学の発展に関連しています。
歯列矯正は、歯並びの悪さや噛み合わせの問題を治すための治療法として、19世紀後半に歯科医学の中で注目されるようになりました。当時はまだ矯正装置の技術も限られており、痛みや費用の問題もありましたが、歯列矯正の需要は次第に増加していきました。
20世紀初頭になると、歯科医学の技術革新や医療機器の進化により、歯列矯正がより効果的で快適な治療法として確立されていきました。また、歯並びの美しさや健康への意識も高まり、歯列矯正治療の需要が急速に拡大しました。
さらに、第二次世界大戦後にはアメリカの経済が急成長し、多くの家庭が歯科治療を受ける余裕が生まれたことも歯列矯正治療の普及につながりました。
これらの要因が重なり、歯列矯正がアメリカの歯科医学における標準的な治療法となる道が開かれたと言えます。現在では、歯列矯正は一般的な治療法として広く受け入れられており、多くの人々が歯並びの改善や噛み合わせの調整のために利用しています。 

アメリカにおける歯科矯正の
回数と治療計画の関係

矯正大国アメリカでは、一度矯正治療を行った方はそれ以降追加で1~2回矯正治療を行うというデータもあるそうです。この回数は、各患者の状態や治療計画によって異なる場合もありますが、一般的な目安となっています。

これは何を意味しているかというと、1回では終わってない人がほとんどだということのようです。
おそらく後戻りをしてしまうことで、再矯正が必要になるということです。リテーナーを一生しないのであれば、3回くらいは矯正しないといけないという感覚の方が適正かもしれません。

とはいえ歯科矯正は、個々の患者に合わせた治療計画が必要です。治療の目的や矯正方法、歯の状態などによって、必要な施術回数が変わってきます。また、状態の進行具合や治療への応答も個人差があります。

アメリカでの2.5回という平均的な施術回数は、多くの患者に対して治療の成功をもたらしていますが、治療技術の進歩により、回数にこだわりすぎず施術方法にも目を向けるべきでしょう。

マウスピース矯正などの効率的な
治療プランによる経済的な負担の軽減

 歯列矯正を2回も3回も受けることは、経済的負担が大きいと言えます。歯列矯正は高額な治療費がかかるため、歯列矯正受けることは費用的に大変困難になります。また、治療回数が増えることで、治療期間や回数にかかる費用も増えるため、さらに負担が大きくなります。このような場合には、保険や医療補助制度を活用したり、治療費の分割払いなどを検討することが重要です。

アメリカの歯列治療はもともとワイヤーが中心でしたが、現在では治療方法が格段に進化し、インビザラインなどのマウスピース矯正などの治療が積極的に取り入れられています。

インビザラインとは、透明なマウスピースで行う歯科矯正です。アメリカで開発され、1999年にアメリカで販売開始、2006年から日本でも販売が始まっています。現在では、世界100の国や地域で導入され、施術を受けた患者は1000万人以上にのぼっています。

アメリカの歯科矯正文化

矯正治療に対するアメリカ人の
意識とライフスタイルへの適応

 一般的にアメリカでは歯科治療に対して以下のような意識があります。

  1. 健康意識の高さ: アメリカでは健康志向の人が多く、その一環として歯の健康や美容にも関心が高い人が多いです。歯科矯正は歯の健康と美容に関わる治療のため、健康意識の高い人に受け入れられやすいです。
  2. 多忙な生活: アメリカの多くの人々は忙しい生活を送っており、仕事や家庭、趣味などでスケジュールが詰まっています。そのため、歯科矯正の治療期間や予約の調整などがスムーズに行えるよう、柔軟な対応が求められます。
  3. 豊かな食文化: アメリカは多様な食文化が存在し、患者は様々な食べ物を楽しんでいます。歯科矯正をしている場合は、食事の制限や注意が必要になるため、患者自身も食生活について理解を深めています。
  4. 個人の美意識: アメリカでは個人の美意識が高く、外見に対する意識も強いです。歯科矯正を受ける患者も、より美しい笑顔や自信を持つために治療を選択することが多いです。

これらの要素を踏まえて、歯科矯正を行なうアメリカの患者のライフスタイルには、健康意識や忙しさ、食文化、美意識などが影響を与えています。 

ハグやキスの文化

またアメリカではハグや頬と頬を合わせる文化があります。そういった理由から、アメリカ人が口臭や体臭に気をつけ、洗口剤や香水といった物を使用するのは当然と言えます。

アメリカの映画で悪役は歯並びが悪い

アメリカの映画やアニメを見た時に、歯並びを注意して見てみてください。悪役は歯並びが悪いことが多く、それを強調して描かれています。

また、欧米では歯に対してお金をかけることが、一種の社会的ステータスになっています。特にアメリカでは「歯列矯正ができる人=裕福な家庭」と見られることが多いため、矯正装置が見えることへの心理的抵抗は少ないようです。アメリカのドラマや映画などで、よく矯正装置をつけた子どもが登場するのは、ステータスの表現になっているようです。

アメリカにおける歯列矯正の割合は約50%、2人に1人です。日本人が大学に行く割合とほぼ同等です。
アメリカではそれくらい歯列矯正はスタンダードなものになっています。